地下水は誰のものかが、ちょっと考え直される時代になってきました。元々地下水はその土地の所有者のもので自由にくみ上げても良いことになっており、昔はほとんどの家庭が井戸を掘って飲料水他の目的に使用していました。
ただし大量の地下水のくみ上げは周辺の地盤沈下等を誘発するため、工場用水法とビル用水法では特別に規制があります。 一方山林については特に地盤沈下等の問題がないので地下水のくみ上げは自由に行われ、実際に富士山麓やその他の名水と言われている場所では無制限の汲み上げがなされてきています。
しかし今この山林の下に眠る地下水が中国や香港や台湾の企業から投資対象となっており、特に北海道の森林が集中的に開発されています。森林の売買につては水資源機能を持つ場所は1ha以上の売買は事後届出制ですが、それ以外は自由なので実態はほとんど分かりません。
北海道庁が最近調べてようやく判明したのが、羊蹄山周辺の倶知安町やニセコで中国や香港企業が57haに上る森林を買収したと言うことや、林野庁の調査で日本全体では06年から10年にかけて620ha(ほとんどが北海道)の森林が外資に売却されたようだと言うかなりアバウトな情報だけです。
日本の森林が外資の投資対象になるのにはいくつかの理由があり、
① 森林価格と木材価格が毎年のように低下しており、日本の森林は相対的に安価であること。
② 森林の地下水は現状では規制がないので自由に汲み上げられる
③ 日本の水は名水が多いのでミネラル・ウォーターとして販売できること。
④ 世界的に見ると水資源の枯渇は明白なので先行投資としての意味合いがある。
⑤ 世界的に資金がだぶついており、少しでも投資機会があれば資金が投下される。
⑥ 北海道の羊蹄山の周辺は国際的な観光リゾート地としての開発も可能。
などで、このまま放っておくと日本の名水はほとんどが外国資本のものになってしまいそうです。
中国の平均雨量は日本の6分の1程度であり、また近年は地球温暖化の影響もあり本来は雨量の多い長江流域でさえ旱魃に見舞われています。中国はメコン川の水をダムでせき止めたり、長江から黄河に水を流そうとしているがうまくいっておらず、それに何より既存の水道水も質に問題があり、今後ますますミネラル・ウォーターに対する需要が拡大するみこみです。
さすがに民主・自民・公明の議員連盟が議員立法で地下水の利用について都道府県知事の許可制にしようと動きはじめていますが、地下水は誰のものか、日本人のものか、中国企業のものか、いまそれが問われ始めています。
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