サンパトリッツィオの井戸(イタリア)

不思議な井戸サンパトリッツィオ

井戸の側面を歩いて降りれる不思議な構造のサンパトリッツィオ。しかも二重螺旋構造で、下りの人と上りの人がすれ違わないのは不思議な感覚です

井戸の側面を歩いて降りれる不思議な構造のサンパトリッツィオの井戸。しかも二重螺旋構造で、下りの人と上りの人がすれ違わないのは不思議な感覚です

中部イタリアの中世小都市オルヴィエートの町にはゴシック建築の最高峰ドゥオモの他に世界に誇れる遺産があります、それがサンパトリツィオの井戸。それは一見どこにでもある井戸なのですが、当時としてはとても高度な建築技術が用いられており、歴史的にも技術的にも貴重なものとなっています。井戸内部にある階段を歩いて下りることができ、底から見る世界はまさに幻想的です。

オルヴィエートは美しい中世の丘上都市

ケーブルカーに乗って約2分、オルヴィエートの中心街に到着します。そこは中世から変わらない町並みが残る歴史への入り口です

ケーブルカーに乗って約2分、オルヴィエートの中心街に到着します。そこは中世から変わらない町並みが残る歴史への入り口です

サン・パトリツィオの井戸は日本でもテレビで紹介されることが多く、ここ数年イタリアの人気観光スポットの一つとなっています。
オルヴィエートはローマとフィレンツェのほぼ中央に位置し、インターシティも停まる主要都市。町は火山の噴火で隆起した丘の上にあり、国鉄駅を降りた目の前にあるケーブルカー(フニコラーレ)で登ります。ケーブルカーを降りると目の前には丘の上とは思えない開放感のある広場、カーエン広場が広がり、そのすぐ右手に目指す井戸があります。

当時の建築技術が集結した美しい井戸

井戸の入り口はいたってシンプル。この下に64メートル、248段もの階段が続いています

井戸の入り口はいたってシンプル。この下に64メートル、248段もの階段が続いています

クレメンテ7世の命によりフィレンツェの建築家アントニオ・ダ・サンガッロによって16世紀に建設された井戸の内部側面には、螺旋階段が二重に巡らされています。井戸の底と地上とがつなぐ二本の階段は、水をくみに下りる階段と汲んだ水を持って登る階段というように、一方通行にしてお互いにすれ違うことなく行き来できるように設計されています。